【毎月更新!】コラム 最新記事一覧へ戻る

脳脊髄液減少症について~原因や治療法を解説

作成日:2022年4月7日

こんにちは!宅食ライフのコラム担当です!
栄養バランスのよい食事をとりたい方へ、お弁当の無料試食はこちらから!

脳脊髄液減少症について~原因や治療法を解説

脳脊髄液減少症とは、交通事故や落下事故など全身への強い衝撃により、脳脊髄液という液体が漏出することで、起立性頭痛やめまい、身体のだるさなど様々な症状をきたす疾患のことです。

このページでは、脳脊髄液減少症の病態や原因、治療法などについて解説します。

脳脊髄液減少症の病態や原因とは?

脳脊髄液とは、脳と脊髄の周りを循環する液体であり、頭蓋内では脳室内とくも膜下の間に、脊柱管内では脊髄くも膜下腔に存在しています。

脳脊髄液は絶えず循環しており、脳と脊髄を保護したり、老廃物を排泄したりする役割があります。

脳脊髄液の量と髄液圧は通常ほぼ一定に保たれています。

脳脊髄液減少症は、外傷などにより硬膜が破綻し、脳脊髄液が持続的ないし断続的に漏出することによって起こります。

本来なら一定の髄液圧が低くなることで起立性の頭痛を主とする多彩な症状をきたします。

この病気は未だ解明されていない部分も多いのですが、交通事故やスポーツ外傷、転倒や転落事故、出産、腰椎麻酔などが原因と考えられています。

特に交通事故によるむちうち損傷の合併症の一部に脳脊髄液減少症があることが分かってきました。

脳脊髄液減少症が重症化すると、脳と硬膜の間にある隙間が拡張して血液が貯留し、慢性硬膜下血種を合併する可能性があります。

慢性硬膜下血種は時に生命を脅かす病気であり、治療には手術による血種の除去が必要となります。

脳脊髄液減少症は医療関係者の間でも認知度が不十分であり、通常の検査だけでは見つかりにくいため正しい診断が難しいことから、起立性調節障害や自律神経失調症、偏頭痛、心因性などと診断されるケースが多くあります。

脳脊髄液減少症の症状の例

・起立性頭痛(起立後数分~数十分で発症する強い頭痛、横になると症状が軽快する)
・悪心、嘔吐
・食欲低下
・全身倦怠感(身体のだるさ)
・首の痛み
・視覚に関する異常(一過性の視力障害、ものが二重に見える、視野欠損など)
・聴覚に関する異常(難聴、耳閉感、耳鳴りなど)
・回転性のめまい
・味覚異常
・うつ症状(意欲低下、気分の落ち込みなど)
・徐脈(脈拍が遅くなる)
・背部痛
・上肢痛
・胃腸障害

など

脳脊髄液減少症による症状は、飛行機の搭乗や登山、天気の悪化など気圧の変化により悪化すると考えられています。

脳脊髄液減少症の検査とは?

脳脊髄液減少症では、脊髄液の減少を観察するために脳や脊髄に対してMRIを実施します。

また、RI脳槽シンチグラフィーという検査では、脳脊髄液が漏れる原因となっている部位を特定することができます。

RI脳槽シンチグラフィーは、腰から針を穿刺し、放射性同位元素を用いた「放射性医薬品」を髄腔内に注入して髄液の流れをみることができる検査です。

ほかにも、CTやMRIを応用した脊髄腔造影法による画像診断が行われることもあります。

脳脊髄液減少症の治療とは?

脳脊髄液減少症の専門は脳神経外科です。発症1か月以内であれば、2週間程度の安静と十分な水分摂取を行います。

軽症の場合は安静や水分摂取のみで症状の消失・改善がみられます。

水分摂取は脱水による症状の悪化を予防するためです。患者の状態によって点滴が行われることもあります。

発症後1か月以降、または安静や水分摂取では症状が改善しない場合は、「硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)」という治療法が検討されます。

硬膜外自家血注入療法とは、患者さん本人の血液を、硬膜の外側の脳脊髄液が漏れている付近に注入して漏れを塞ぐ治療法です。

1回の注入で20%の患者に著明な症状の改善がみられると報告されています。

腰椎から脊髄液が漏れている場合は、硬膜外腔が広いため1回の治療では効果が不十分なことが多く、複数回の治療を要することもあります。

治療から1年経過した時点の評価では70%に症状の明らかな改善がみられ、満足できる結果が得られたと言われています。

硬膜外自家血注入療法は2016年4月から一部の患者に健康保険が適用されるようになりました。

また、「硬膜外生理食塩水注入」が診断の補助や治療に有用という報告もあります。

これは、血液ではなく生理食塩水を注入して硬膜内の脊髄液の漏出を防ぐことができているか確認する方法であり、硬膜外自家血注入療法の治療効果を予測するために行われることもありますが、生理食塩水注入のみで効果を示した例もあります。

腰部から針を穿刺して、1回だけ生理食塩水を注入する方法と、硬膜外の脊髄液が漏れている付近に細いチューブを留置し、数日間ポンプを使用して生理食塩水を注入する方法があります。

脳脊髄液減少症と間違えやすい病気とは?

・自律神経失調症

自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れることで起こる様々な症状の総称です。

自律神経は身体を活発に動かす時に作用する交感神経と、リラックスする時に作用する副交感神経という2つの神経からなっており、ストレスやホルモンバランスの変化などによって片方の神経が過剰に興奮した状態が続くことで症状をきたします。

自律神経失調症でみられる症状は、倦怠感や頭痛、腹痛、疲労感、手足のしびれ、動悸、息切れ、めまい、不眠など多彩であり、個人差がみられます。

自律神経失調症はストレスや生活習慣の乱れが原因で発症するため、これらを改善することで軽快することがあります。

また、対症療法として鎮痛薬や抗不安薬、睡眠導入剤などが用いられることもあります。

・起立性調節障害

起立性調節障害とは自律神経失調症の症状の1つであり、小学校高学年から中学生に発症する頻度が高い病気です。

この病気は、自律神経の調節の乱れによって起立時の脳血流の低下をきたします。

これにより、立ちくらみやめまい、頭痛、腹痛、倦怠感、食欲不振、起床困難、午前中は気分が優れず午後になると元気になるなどの症状がみられます。

時には失神発作を起こすこともあります。

怠け癖や学校嫌いと誤解されるケースも多く、遅刻や欠席が増えて不登校となることもあります。

季節や気候の変化、生活リズムの乱れ、心理的ストレスが発症・悪化に影響を及ぼすと考えられています。

・緊張型頭痛、偏頭痛

緊張型頭痛はストレスによって神経や筋肉が過度に緊張することで、筋肉に疲労物質が知蓄積したり、脳の痛みを調整する機能がうまく働かなくなったりすることで起こる頭痛を指します。

発症の原因は、長時間同じ姿勢などの身体的ストレスや、環境の変化による精神的ストレスなどがあります。

偏頭痛は、何らかのきっかけにより脳の血管が急激に拡張することで起こると考えられています。

拍動性の強い痛みが頭の片側、あるいは両側に生じ、生活に支障をきたすことも少なくありません。

偏頭痛の発症には遺伝的な体質も関係しているほか、気候や気圧の変化、生活リズムの変化、ホルモンバランスの変化などが誘因となります。

まとめ

脳脊髄液減少症とは外傷などにより脳脊髄液が減少する病気です。

この病気は未だ解明されていない部分が多く、症状を抱えながらも適切に診断・治療が行われないケースが少なくないと言われています。

気になる症状がある場合は脳神経外科の受診をおすすめします。

健康を維持増進するためには、毎日の食事が大切です。

「宅食ライフ」では前日までのご注文で、自宅に栄養士が献立を考えたお弁当を届けることが可能です。

一般の高齢者に向けたお弁当だけではなく、コレステロールや脂肪分に配慮した低カロリー食、塩分制限食など一人ひとりに合わせた様々な種類のお弁当が用意されています。

今なら2食まで無料で試すことができます。この機会に是非無料試食サービスをお試しください。

この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

記事一覧へ戻る>