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神経因性膀胱とは?頻尿や尿失禁などの排尿障害も

作成日:2022年4月7日

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神経因性膀胱とは?頻尿や尿失禁などの排尿障害も

神経因性膀胱とは、尿を溜めたり出したりする神経がうまく働かなくなり、尿のトラブルを生じる病気のことです。

神経因性膀胱は、脳や脊髄の病気が原因で発症します。

このページでは、神経因性膀胱の原因や治療法などについて解説します。

神経因性膀胱の原因とは?

排尿には脳や脊髄などの神経が複雑に関与しています。

神経因性膀胱は、尿を溜めたり出したりする働きを管理する大脳や、脳と膀胱をつなぐ脊髄、末梢神経などが損傷することで膀胱の働きがコントロールできなくなることで起こります。

神経因性膀胱になると本人の意思とは関係なく尿が漏れたり、出にくくなったりします。

神経因性膀胱の原因には、脳卒中や認知症、パーキンソン病などの脳障害や、脊髄損傷、多発性硬化症などの脊髄障害などの疾患があります。

神経因性膀胱になり、排尿が自分の意思でコントロールできなくなると、尿路感染症や尿路結石を起こしやすくなります。また、膀胱に尿が溜まり腎臓に逆流してしまうと、腎機能障害を、招くリスクもあります。

 神経因性膀胱の原因

・中枢神経障害

脳の障害に起因して排尿障害が起こります。
例:脳卒中、筋萎縮性側索硬化症、椎間板ヘルニア、認知症、パーキンソン病など

・脊髄性排尿障害

脊椎疾患によって起こる排尿障害であり、仙髄を境に上位型と下位型の2つに分けられます。
上位型では、膀胱に尿を溜めておくことができなくなり、頻尿や尿失禁などが起こります。
下位型では、膀胱が伸びきって縮むことができなくなります。
例:脊髄損傷、頚髄症、脊髄腫瘍、二分脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなど

・末梢神経性排尿障害

末梢神経の障害によって起こる排尿障害です。糖尿病性の神経障害や骨盤内の腫瘍、手術の操作に伴う場合などが原因となります。
例:末梢神経障害(糖尿病、アルコール依存症、ビタミンB12欠乏症など)、直腸がん、子宮がんなど骨盤内腫瘍の術後など

神経因性膀胱の分類と症状

・弛緩性

弛緩性の神経因性膀胱は、膀胱が収縮しなくなります。
そのため 尿意を感じにくく、尿が出なくなる尿閉や、尿が膀胱の限界を超えて溢れ出す尿失禁が起こります。男性では勃起障害がみられることがあります。

・痙性

意思とは関係なく膀胱が収縮し、膀胱内に尿が十分に溜まっていなくても尿意を感じるため、頻尿や尿失禁が起こります。

・混合型

弛緩性と痙性の両方がみられます。

神経因性膀胱の治療法とは?

神経因性膀胱の治療の目的は症状の改善のほか、尿路感染症の防止や長期的に腎機能を守ることです。

男性で前立腺肥大症を合併している場合には、前立腺肥大症の治療を優先して行います。

・行動療法

行動療法は生活習慣の改善や、排尿に関係する筋肉を鍛える運動を行う治療法です。

神経因性膀胱を改善する生活習慣とは、寒い場所を避けて身体を冷やさないようにする、便秘や太り過ぎに気を付けることなどがあげられます。

排尿に関係する筋肉を鍛える運動には、膀胱訓練や、骨盤底筋体操などがあります。

<膀胱訓練>

膀胱訓練は尿意を催した場合に、できるだけ我慢して膀胱の容量を拡げる訓練です。

まずは短時間から始め、徐々に排尿感覚を延ばしていきます。

自己判断では行わず、必ず医師の指示に従って訓練しましょう。

(1)尿意を感じたら5分程度トイレに行くのを我慢します。尿意を感じる度ではなく、日中だけなど時間や回数を決めて行ってみましょう。
(2)5分我慢できるようになったら、10分、15分と我慢する時間を長くしていきます。
排尿の間隔が2~3時間、もしくは3~4時間程度となるように訓練を続けましょう。

トイレの回数や行った時間を記録する排尿日誌を活用することで、自分の排尿の傾向が分かりやすく、受診時にも役立ちます。

トイレに行く回数が多い時間帯に訓練を行う、など対策を講じることもでき、訓練の成果も分かるので、モチベーションの維持にも繋がります。

(医療機関で排尿日誌を記録するように指示された場合は、1回の尿量を測定することもあります。)

<骨盤底筋体操>

骨盤底筋群は特に女性が緩みやすい筋肉ですが、男性でも緩むことがあります。

神経因性膀胱による尿漏れは、骨盤底筋を鍛えることで改善する場合があります。

また、現在は尿漏れが無い方でも骨盤底筋を鍛える訓練を続けることで、尿漏れを予防することができます。

女性は膣を、男性は肛門を締めたり、緩めたりすることを繰り返して骨盤底筋を鍛えます。
膣・肛門は押し出すのではなく、中に引き入れるイメージで締めます。

(1)仰向けになった状態で5秒かけてゆっくりと膣・肛門を締めていき、緩めます。この運動を1日20回行います。
(2)膣・肛門を締め、すぐに緩める運動を繰り返し早く行います。同様にこの運動も1日20回行います。

慣れてきたら、立ったまま行ってみたり、膣・肛門を締める時間を長くしたりしてみましょう。
この体操は毎日行うことが大切です。

・薬物治療

膀胱の異常な収縮を抑えたり、反対に筋肉を緩めたりなど、患者の症状に合わせた薬を使って治療を行います。薬には飲み薬のほかに貼り薬が用いられることもあります。

・ボツリヌス療法

膀胱鏡という内視鏡を用いて膀胱の筋肉に直接注射をする治療法です。

ボツリヌスという膀胱の筋肉を緩めて異常な収縮を抑える薬を使います。

・電気刺激治療、次期刺激治療

電気や磁気によって排尿に関係する神経に刺激を送って膀胱や尿道の働きをコントロールします。

・カテーテル挿入

自分の意思で排尿ができない場合、尿が膀胱に留まる時間が長くなって尿路感染症を引き起こすリスクが高まるため、膀胱にカテーテルを定期的に挿入して尿を出す導尿が必要となります。

治療をしても改善がみられない場合には、本人や介護者が手技を覚えて導尿する「間欠的導尿」が必要となることもあります。

膀胱内は無菌状態であるため、手技は清潔に行うことが大切です。

自己もしくは他己導尿が難しい場合には、永久的にカテーテルを留置することもあります。

これには、尿道からカテーテルを留置する方法や、お腹から膀胱に穴を開けてカテーテルを留置する膀胱瘻などのやり方があります。

・外科的治療

稀ですが、保存的治療による効果がみられない場合は手術が行われることもあります。

手術は神経因性膀胱の原因や症状によって異なりますが、人工の尿道括約筋を埋め込む手術や、腸管を使って膀胱の容量を大きくして尿を溜められるようにする手術などがあります。

神経因性膀胱の食事で気をつけることとは?

・カルシウムの摂取を制限する。

膀胱に尿が停留する場合は、尿路結石ができやすくなるため、食事に含まれるカルシウムの摂取を制限することが推奨されています。

・十分な水分摂取を心がける。

身体にとって必要な水分量が不足すると尿の成分が濃縮されて膀胱を刺激するため、尿意を催しやすくなります。

特別な水分制限が無い場合には1日2L以上を目安としてこまめに水分を摂るようにしましょう。
また、十分な水分摂取は尿路結石を予防することにも繫がります。

まとめ

神経因性膀胱は頻尿や尿失禁、尿閉などの排尿障害がみられる病気です。

脳や脊髄、神経系の病気があり、尿失禁がみられる場合は、神経因性膀胱が疑われます。

神経因性膀胱は、腎臓の障害を予防するために迅速に治療を開始する必要があります。

健康の維持・増進には、毎日の食事が大切です。

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この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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