メニエール病とは?どんな耳の症状なのか
作成日:2022年6月21日
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メニエール病は、回転性のめまいや耳鳴り、難聴などの症状を何度も繰り返す耳の病気です。
発症の原因は不明ですが、ストレスや疲労、睡眠不足が関係していると考えられています。
このページでは、メニエール病のメカニズムや治療法、日常生活上の注意点などについて解説します。
目次
メニエール病とは?
内耳にある三半規管や耳石は身体の平行機能を司っており、蝸牛が音を感じ取る役割があります。
メニエール病は、内耳にある三半規管と蝸牛にある内リンパ液が必要以上に増加することによって起こる病気です。
内リンパ液が増加する原因は解明されていませんが、ストレスや睡眠不足、疲労や気圧の変化などが関係していると考えられています。
患者は30~50代の女性に多く、几帳面で責任感の強い性格の人にも多いことが分かっています。
症状は突発的で、2~3日おきや数年に1度など、人によって程度は様々ですが、反復するのが特徴です。
初期のメニエール病では、症状は数日から数週間で落ち着きますが、進行すると症状が治まりにくくなります。
長期化するとめまいの発作は少なくなるものの、難聴が悪化し、発症当初は低い音のみ聞こえにくかったものが、徐々に高い音も聞こえにくくなります。
メニエール病の症状とは?
内耳に水がたまると、ぐるぐると目が回るような回転性のめまいや難聴、耳が詰まった感じのする耳閉感、耳鳴りなどの症状が起こります。
めまいの持続時間は10分から数時間程度であり、吐き気を伴うことも少なくありません。
ただし、めまいが起こらない蝸牛型メニエール病もあります。
メニエール病は主に片方の耳に起こりますが、発作を繰り返すうちに片方の耳にも同様の症状があらわれることもあります。
メニエール病の治療法とは?
メニエール病は、大きな発作が長く続くと聴覚や平衡感覚を司る細胞・神経の損傷が大きくなるため、発作が出たらその都度しっかり抑えていくことが大切です。
発作時は薬物治療を行います。
メニエール病の薬物療法では、症状が強く内服ができない場合は、安静にしてめまいを止める点滴を行います。
内服が可能であれば、めまいを止める薬や吐き気止め、余剰な水分を排出する利尿薬やステロイド薬などが用いられます。
また、耳の神経の働きを良くするビタミン剤や、発作による不安を取り除く抗不安薬を使用することもあります。
慢性期には発作を予防するため、身体の水分を調整する効果のある漢方薬を使用することもあります。
内服で改善しない場合は、ステロイドや抗生物質を鼓膜の奥に注入する「鼓室内薬液注入法」や、手術で内耳にたまった内リンパ液を排出する「内リンパ嚢開放術」などの外科的治療が行われます。
鼓室内注入療法は、鼓膜の奥に薬を注入し、リンパ液の過剰な産生を阻害する治療法です。
内リンパ嚢開放術は、内リンパ液がたまる袋を切開しリンパ液の流れを正常に戻す手術です。
8割前後の有効率のある効果が高い手術ですが、再発の可能性もあります。
これらの治療を行っても激しい発作が続く場合には、前庭神経というめまいの原因となる神経の切断や、内耳の器官そのものの除去など、さらに侵襲的な手術が必要になることもあります。
近年では、内服薬の効果が無いメニエール病に対して、「中耳加圧療法」という非侵襲的な新しい治療法が普及してきています。
中耳加圧療法は、チューブの先から出てくる空気の振動派で耳を刺激して血行を良くし、内耳のむくみをとります。
この治療法では、専用の危機をレンタルし、自宅で朝晩2回、1回3分間程度治療します。
メニエール病の日常生活上の注意点とは?
・ストレスを回避する。
メニエール病の発症・再発にはストレスが関係していると考えられています。
ストレスが蓄積しないよう、適度な休息をとることや、趣味に没頭して気分転換を図るなど自分に合ったストレスの対処法を見つけましょう。
ストレスの原因が仕事であり症状が悪化傾向にある場合は、休職や転職をすることもストレスから回避する手段の一つです。
・十分な睡眠をとる。
睡眠不足による疲労の蓄積は、メニエール病の発作の原因となります。
心身ともに休息するためには十分な睡眠をとることが大切です。1日に必要な睡眠時間には個人差がありますが一般的に6~7時間以上と言われています。
・塩分を制限する。
食塩に含まれるナトリウムには水を引き込む力があるため、摂り過ぎは内耳に水がたまる原因となります。
内耳に余分な水がたまらないようにするには塩分制限食が有効です。
<減塩のポイント>
(1)普段使っている調味料を減塩タイプの調味料に変える。
(2)昆布やかつおなど出汁を上手に使い、食材のうまみを生かす。
(3)スパイスなどの香辛料や酢による酸味など、味にアクセントをつける。
(4)醤油はかけるのではなく小皿にとり、つけるようにする。
(5)煮魚より焼き魚にする。
(6)汁物は具を多くして、汁を減らす。
(7)ラーメンやうどんなどの汁は飲まない。
(8)塩蔵品や漬物、佃煮は控える。
(9)インスタント食品は避ける。
・アルコール、カフェイン、タバコを制限する。
アルコール、カフェイン、タバコなどの嗜好品は血管の収縮を引き起こし、血行が悪くなるため症状の悪化を招きます。
チョコレートにもカフェインは含まれます。摂り過ぎには注意しましょう。
・症状が出たら落ち着くまで休む。
めまいや吐き気などの症状が出たら、まずは休める場所を確保し、心身を休めることが大切です。
締め付けの強い衣服や、ネクタイ、ベルトは緩めましょう。
光や音による刺激はめまいが悪化する原因となります。アイマスクや耳栓で刺激を遮断したり、暗くて静かな部屋で過ごしたりするようにしましょう。
・慢性期は有酸素運動をする。
有酸素運動は、ストレス解消効果だけでなく、メニエール病の症状の改善に効果があったという報告があります。
有酸素運動とは、ランニングやウォーキング、水泳、サイクリングなど筋肉への負荷が比較的軽く、長時間継続して行う運動のことです。
運動の頻度は週3回以上で、1回1時間を継続して行います。
メニエール病の症状に似た病気とは?
メニエール病の症状に似た病気に、突発性難聴があります。
突発性難聴は突然片方の耳に金属音のような激しい耳鳴りと難聴が起こる病気で、メニエール病同様に過労やストレスが引き金となって発症すること多いと言われています。
発症から48時間以内に治療を開始すると治る見込みは高くなりますが、2週間以上経過してしまうと聴力が戻らなくなるおそれがあります。
疑わしい症状がある場合は、早期に耳鼻科を受診しましょう。
まとめ
メニエール病はめまいや吐き気、難聴などの症状によって日常生活に支障をきたすことも多く、放置すると悪化したり、治療しても効果がみられにくくなったりします。
メニエール病の発作はストレスや疲労が蓄積されると誘発されやすくなるため、無理をしない生活を心がけましょう。
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