機能性ディスペプシアとは?症状や原因・治し方
作成日:2022年4月18日
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機能性ディスペプシアとは、以前は「ストレス性胃炎」と診断されていた、胃に明らかな異常がないのにも関わらず、慢性的な胃もたれや胃痛などの症状が続いた状態を指す病気です。
機能性ディスペプシアの発症にはストレスや生活習慣などが関係しています。
このページでは、機能性ディスペプシアの原因や治療法、食事療法などについて解説します。
目次
機能性ディスペプシアとは?
機能性ディスペプシアとは、胃痛や胃もたれなどの症状が続いているのに、検査をしても原因となる異常が特定できない病気です。
以前はストレス性胃炎と診断されていましたが、近年では機能性ディスペプシアという病気の概念が成立してきました。「機能性胃腸症」と呼ぶこともあります。
胃は食べ物を溜めて十二指腸に送り出す、という働きをしています。
この食べ物を溜める、という機能に異常が生じると、少し食べるだけで満腹を感じる「早期飽満感」という症状がみられることがあります。
一方、食べ物を十二指腸に送り出す機能に異常が生じると胃もたれなどの症状がみられます。
他にも、慢性的な胃痛や胸やけ、みぞおちの灼熱感、吐き気、げっぷなど、機能性ディスペプシアの症状は多岐に渡ります。
一般的に若い世代は痛みを伴う症状が多く、中高年世代になると加齢に伴って胃の機能が低下するため、胃もたれや膨満感などの症状が多くみられるようになります。
これらの症状は、がんや炎症、胃潰瘍などでもみられるため、症状からすぐに機能性ディスペプシアと診断するのではなく、まずは検査をして重篤な病気が無いか調べる必要があります。
機能性ディスペプシアは、喫煙、過度なアルコール摂取、不規則な食生活などによる胃の運動機能の障害、内臓の知覚過敏が原因と考えられています。
また、ピロリ菌の感染や過去の感染性腸炎も原因の1つとして挙げられます。
さらに脳腸相関といって脳と腸は深く関連しており、不安や抑うつなど心理的要因が胃や腸の運動や感覚に変化を与えることから、ストレスが機能性ディスペプシアを呈する一因となっている可能性もあります。
機能性ディスペプシアの症状
機能性ディスペプシアの症状は以下の2つに分類されています。
ただし、2つを併せ持つこともあるため、明確に線引きできない場合もあります。
・食後愁訴症候群
主に食事後に胃もたれや早期飽満感などの症状がみられます。
・心窩部痛症候群
食事の有無に関わらず、心窩部(みぞおちのあたり)の痛みや灼熱感を伴う症状がみられます。
機能性ディスペプシアの治療法とは?
機能性ディスペプシアは薬物療法による治療が一般的であり、症状に合わせて胃酸の分泌を抑える薬や、胃の運動を促す薬などを用いて治療します。
胃もたれの症状には、漢方薬が使われることもあります。
また、不安や抑うつなど心の不調がみられる場合は、抗不安薬や抗うつ薬を使うことで気持ちが安定し、症状が改善されることもあります。
また、機能性ディスペプシアとピロリ菌の関係は明らかにされていませんが、ピロリ菌を除菌すると症状が改善することがあります。
そのため、まずはピロリ菌に感染しているかどうか検査が行われます。
感染が判明した場合には、除菌のための薬物療法が行われます。
さらに、機能性ディスペプシアの治療で大切なのは生活習慣の改善です。
日常生活にストレスがある状態だと、症状の悪化や再発を繰り返しやすくなるため、睡眠や休養をしっかりとり、自分に合った方法でストレスを発散するよう心掛けましょう。
運動は、ストレスの発散に効果的なだけでなく、胃の働きを高める効果も期待できます。
喫煙は、胃の血流を悪くするため、症状が悪化する原因となります。症状にお悩みの場合は禁煙しましょう。
機能性ディスペプシアの治療には食生活の改善も必要です。
機能性ディスペプシアの食事療法とは?
・高脂肪食を避ける。
油の多い食事は胃の動きを抑制する作用があり、胃もたれなどの症状が多くなります。
また、脂質は消化に時間がかかるため、胃に負担がかかります。さらに、脂質は胃と食道の境目にある筋肉を緩めてしまうため、胃酸が逆流しやすくなります。
脂質の1日の摂取量の目安は、総エネルギー量の20~30%程度です。
1日に2000kcal必要な人であれば、50g程度を目安にしましょう。
摂り過ぎると身体に悪い脂質は、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸です。飽和脂肪酸は主に動物性の脂質に含まれています。
飽和脂肪酸を摂り過ぎると、悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や心疾患、脳卒中などの生活習慣病リスクを高めます。
コレステロール、脂肪の摂取を控えるには調理法も大切です。
油を使う量は、蒸す<煮る<炒める<揚げる、の順に多くなります。デザートは、バターや生クリームを多く使う洋菓子よりも、脂肪分が少ない和菓子を選ぶようにしましょう。
<推定エネルギー必要量(kcal/日)>
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
30~49歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50~69歳 | 2,100 | 2,450 | 2,800 | 1,650 | 1,900 | 2,200 |
70歳以上 | 1,850 | 2,200 | 2,500 | 1,500 | 1,750 | 2,000 |
※身体活動レベルとは?
Ⅰ:生活の大部分が座った状態で、静的な活動が中心
Ⅱ:座った状態が中心だが、移動や立った状態での作業があったり、通勤・買物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを行う場合
Ⅲ:移動や立っている状態が多い生活。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣がある場合
飽和脂肪酸の含有量が多い食品(100gあたり)
食品 | 飽和脂肪酸含有量(g) |
生クリーム | 27.62 |
クリームチーズ | 20.26 |
鶏皮 | 16.30 |
牛サーロイン | 16.29 |
プロセスチーズ | 16.00 |
カマンベールチーズ | 14.87 |
ベーコン | 14.81 |
牛バラ | 13.05 |
豚バラ | 12.95 |
牛ロース | 12.19 |
牛ホルモン(小腸) | 11.82 |
ウインナー | 10.11 |
鶏卵(卵黄) | 9.22 |
・過度な刺激となるものを避ける。
アルコールや香辛料、炭酸飲料、カフェイン、冷たい物などは胃酸の分泌を刺激するため、症状を悪化させる原因となります。
・早食いせずよく噛んで食べる。
食事をすると、胃が適応して徐々に膨らんでいきますが、早食いをしてしまうと、膨らむ前の胃に一気に食べ物が流れ込み、胃にとって大きな負担となります。
胃が膨らむのは食事開始から約15~20分後であるため、ゆっくり食べるようにしましょう。
また、よく噛んで食べると消化や吸収が良くなります。
・一回量を減らし、食べる回数を増やす。
早期飽満感がある場合など、食事を一度に食べると症状がみられる場合には、1日3食にこだわらずに食事の量を減らし、回数を増やすようにしましょう。
・食事は腹八分目とする。
食べ過ぎは消化に時間がかかり、胃に負担がかかります。
まとめ
機能性ディスペプシアは、検査で原因が特定できない胃の不調を呈する病気です。
予防や改善には、食生活を見直すことが大切です。食生活を見直し栄養バランスの良い食事を摂ることで、機能性ディスペプシアの改善だけでなく、生活習慣病の予防や再発リスクを低下させることにも繋がります。
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