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適応障害について~一人で抱え込まず、周囲の人やクリニックへ

作成日:2022年4月7日

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適応障害について~一人で抱え込まず、周囲の人やクリニックへ

適応障害とは、ストレスによって感情や行動に様々な症状がみられ、日常生活が大きく障害される状態のことをいいます。

精神科治療を受けている患者のうち、適応障害の割合は5~20%と一般的に多く見られる疾患です。

このページでは、適応障害について解説します。

適応障害とは?

適応障害とは、医学的には心理社会的ストレス因子に対する短期間の不適応反応のことを指す、ストレス性障害の1つです。

症状は、主に抑うつ気分や不安症状、身体症状に大別されます。

これらの症状のうちいずれか、または混合した状態が症状となってあらわれますが、症状の出方にはストレスの程度や状況、本人の性格などによって様々です。

ストレスの原因から離れている時は、症状が軽くなることもあります。

適応障害はうつ病と似た症状がみられるため、治療には鑑別が必要です。

うつ病の場合はストレスの要因を除去しても症状は緩和せず、長期的な治療が必要になることが多いですが、適応障害の場合は、ストレスの要因を除去すると症状は速やかに軽減します。

しかし、適応障害が悪化するとうつ病へと至る場合があるため、なるべく早期から治療を開始することが望ましいです。

適応障害の原因は、仕事や家庭、恋愛、学校、病気など日常生活に関係するストレスが主です。

診断の概ねの基準は、はっきりと感じる社会的なストレスによって3か月以内に発症し、社会生活や仕事、学業上に影響がある障害がみられることです。

症状が重度化すると、職場や学校に行けなくなる、職場や学校へ連絡することや反対に連絡が来ることで緊張や嫌悪感を伴うため、無断欠勤(欠席)もよく見られるようになります。

また、自暴自棄になったり、暴飲暴食をしたりすることもあります。

適応障害の症状

抑うつ気分:気分の落ち込み、涙もろい、意欲の低下など
不安症状;動悸、焦燥感、神経過敏、緊張、怒りなど
身体症状:めまい、発汗、吐き気、頭痛、動悸、倦怠感、腰痛、背部痛、風邪様症状、腹痛など

適応障害の診断基準(アメリカ精神医学会DSM-5)

・ストレスの原因が明確であり、その原因となることが起きて3か月以内に症状が出現している。
・症状に以下のどちらか片方、または両方が含まれる。

(1)ストレスの原因となることに不相応なレベルの症状や苦痛がある。
(2)社会的、職業的など生活面で重大な機能的障害がある。

・他の精神疾患では説明がつかない。
・その症状は通常の死別への反応では現れない。
・ストレスの原因が無くなった場合、症状はそれから6か月以上は続かない。

適応障害の治療とは?

適応障害の治療には環境の調整が重要です。

患者がストレスとなっていることを明確にし、周囲がサポートしながらその要因を解決することで回復へと向かっていきます。

ストレスの要因から離れ、自宅で静養するだけでも症状の改善が認められることもあります。

ストレスの要因から離れられない場合は、その環境に合わせて本人が行動や意識を変えて適応する力を高める認知行動療法が行われることもあります。

対症療法として抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などの薬が用いられることもあります。

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、自分のストレスへの対処の仕方、考え方を変える心理・精神療法の一つです。

認知行動療法は精神科医や心理療法士などによって行われ、適応障害のほかにもうつ病など様々な精神疾患に対する有効性が医学研究で立証されている心理療法です。

認知行動療法の認知とは、物事の受け取り方や考え方、という意味を持ちます。

患者の感情や行動に影響を及ぼしている極端な捉え方(認知の歪み)を治療者と患者が協働で確認していくことが認知行動療法の第一歩となります。

認知が歪んでいると、例えば「自分の企画に対し、1人につまらないと言われた」ということに対し「企画は失敗した」と認知し「自分のせいで失敗した」とマイナスの感情が生まれます。

しかし、認知の仕方を変えると「1人につまらないと言われてもほかの人達には良かったと言われ、自分も楽しむことができた」と認知し、「8割成功と言ってもいい」というように、事実とは反する思い込みになっているものを修正することで不快な感情を改善できるようになります。

うつ病やパニック障害の場合は、認知行動療法で改善した患者は、薬で治療した方と比較すると病気の再発が少ないことが分かっています。

適応障害の予防とは?

適応障害を予防するためには、早めに対処することが大切です。

気持ちの落ち込みやイライラ、不眠、食欲不振、疲れやすくなったなど今までと異なる症状がみられたら早めに医療機関を受診することが有効な予防策となります。

また、適度な休息をとることや、趣味に没頭して気分転換を図るなど自分に合ったストレスの対処法を見つけましょう。

ストレスを緩和するためには、呼吸が大切です。

ストレスを感じて心身が緊張している時は自然と呼吸が浅く、早くなります。

ゆっくりとした大きな呼吸は、リラックスしている時に働く副交感神経を活発にしたり、脳へ酸素を送ることで頭をすっきりさせたりする効果が期待できます。

また、呼吸に集中することでストレスから一時的に遮断され、気分を落ち着かせることができます。深くゆっくりとした呼吸をするためにはお腹を使うことを意識しましょう。

~リラクゼーション呼吸法~

(1)下腹部に手を当て、3秒かけてゆっくりと口から息を吐きます。この時、お腹が徐々に引っ込むように時間をかけて吐きます。
(2)息を吐ききったら、1秒息を止めます。
(3)6秒かけて下腹部を徐々に膨らませながら鼻から深く息を吸います。
(4)繰り返します。

ストレスを感じると筋肉にも自然と力が入り、身体が緊張した状態となります。

意識的に筋肉に力を入れた後弛めることを繰り返す漸進性筋弛緩法もストレスの緩和に有効だと言われています。

~漸進性筋弛緩法~

(1)両手を5秒間強く握り、息を吐きながら力を抜いてゆっくりと広げる。
(2)脇をしめ、5秒間力を入れて両腕を曲げ、息を吐きながら力を抜く。
(3)両肩を耳に近づけるように5秒間上げ、息を吐きながら力を抜く。
(4)目と口に力を入れて5秒間閉じ、息を吐きながら力を抜いて開ける。
(5)肩甲骨を引き付けるように腕を外側に5秒間広げ、息を吐きながら力を抜く。
(6)お腹に力を入れて5秒間へこませ、息を吐きながら力を抜く。
(7)お尻の筋肉に5秒間力を入れで肛門を引き締め、息を吐きながら力を抜く。
(8)足全体に5秒間力を入れ、息を吐きながら力を抜く。

まとめ

適応障害は、職場や学校、その他の社会生活を送る上で受けるストレスに適応できない時に起こる精神・身体・行動面に起こる様々な症状のことをいいます。

ストレスとなる要因から離れることが対処法として有効であり、周囲のサポートが重要となります。

強いストレスを感じていて症状がみられる場合は、早期に医療機関を受診し、うつ病への移行を防ぐことが重要です。

一人で抱え込まず、周囲の人や専門医へ相談しましょう。

心身の健康を保つためには栄養バランスの良い食事が欠かせません。

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この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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