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登山やハイキングの前に知っておこう 虫除けと対策

作成日:2022年4月18日

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登山やハイキングの前に知っておこう 虫除けと対策

虫さされとは~虫が原因の皮膚炎

虫さされは、虫に刺される、咬まれる、吸血されるなどによって起こる皮膚炎のことです。

虫さされのメカニズム

虫が皮膚を刺したり咬んだりすると、虫の持っている毒成分や唾液成分がアレルゲンとなって人の体内の抗体と反応し、かゆみや炎症を引き起こします。

虫さされの主な症状のひとつであるかゆみは、虫の毒成分などによるアレルギー反応のひとつです。

また毒成分が体内に注入されるときの物理的な刺激や、毒成分の化学的刺激によって起きる炎症が痛みの原因です。

虫さされの症状は年齢や体質によっても異なりますが、一般的にはアレルギー体質の人の方が、症状は強く出ると考えられています。

虫さされの原因となる生物

・蚊

人を刺す蚊は主にヒトスジシマカとアカイエカです。

屋外、室内のどこにでも生息しますが、ヒトスジシマカは主に朝と夕方の屋外、アカイエカは夕方から夜にかけて室内で刺されやすいといわれます。

主な症状であるかゆみはアレルギー反応によるもので、刺されてすぐにかゆみが出る即時型反応と、あとから症状が出る遅延型反応があり、症状のあらわれ方は個人差がありますが、症状が軽い場合にはかゆみに対して市販薬を使用するなどして、自然に軽快するのを待ちましょう。

・ブユ(ブヨ)

体長2~4㎜ほどの小型のハエのような虫で、高原や山間部の渓流などきれいな水のある付近に多く生息しています。

刺されてから数時間から半日ほど経ってかゆみや痛みが生じ、徐々にかゆみが強くなります。

複数回ブユに刺されている人の場合は、すぐに症状が出る場合もあります。刺された部位は赤く腫れて、硬くしこりのようになることがあります。

・ハチ

スズメバチ類、アシナガバチ類、ミツバチ類などの種類があり農作業やハイキングなどの野外活動で刺されることが多く、巣の近くは特に危険です。

ハチの巣をみつけた場合は静かにその場を離れましょう。

初めて刺されたときは激しい痛みと赤い腫れが生じますが、1~数日で治ります。

2回目以降はアレルギー反応によってじんましんや呼吸困難などの重篤な全身症状を伴うことがあります。

アナフィラキシー反応が生じた場合はすぐに救急車を呼びましょう。

ミツバチは刺された部位に毒針が残るので、毒嚢(どくのう)を圧迫しないようにできるだけ早く毒針を取り除きましょう。

・クモ

家屋周辺に生息するクモの多くは毒を持たず、人に被害を及ぼすことはありませんが、カバキコマチグモ、セアカゴケグモは毒を持ちます。

カバキコマチグモはイネ科植物の先端に巣を作り、咬まれても一般的には軽症で数日で軽快します。

セアカゴケグモは地面に近い日陰に巣を作り、強い毒を持ちます。

症状には個人差が大きく、痛みが強くなったり嘔気や嘔吐、発熱などの全身症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

重篤な場合では治療に血清が必要なこともあるため、セアカゴケグモに咬まれたことがわかっている場合には、受診の際に伝えましょう。

・マダニ

布団やソファ、カーペットなどの中に生息するイエダニのほかに、山野ややぶ、河川敷の草地の中などに生息するマダニがいます。

マダニは人体の皮膚に吸着して、わき腹や太ももなどから数日間にわたって吸血します。

刺されても痛みやかゆみはほとんど感じませんが、無理に引き抜こうとすると口器が皮膚に残ってしこりになることがあります。

マダニはいくつかの感染症を媒介することがわかっているため、速やかに医療機関を受診しましょう。

・ムカデ

人を咬むムカデの主な種類はトビズムカデとアオズムカデの2種類です。

10㎝前後と大型で主に屋外の朽ち木や落ち葉の下などに生息していますが、ゴキブリなどのエサを求めて屋内に侵入してくることもあります。

咬まれると強い痛みや腫れが生じ、稀にじんましんや重篤な場合にはアナフィラキシーショックによって命にかかわる可能性もあります。

・有毒毛虫

ヒロヘリアオイラガの幼虫は全身に毒棘があり、棘に触れると強い痛みと発赤を生じます。

チャドクガの成虫、幼虫ともに毒針毛を持ち、触れると激しい痛みとじんましんのような発疹を生じます。

広範囲に症状が出やすいため、皮膚科を受診して適切な処置を受けましょう。

虫さされの予防と対策について

登山やハイキングだけではなく、バーベキューや公園などでも草木の多い場所では、虫さされの対策が必要です。

虫よけ

虫よけの主な成分は「ディート」で、日本で最初に承認された虫よけの成分です。

日本で一般的に市販されている虫よけは、蚊をはじめとしてブユやマダニなど多くの種類に対応しています。

肌に直接塗布しますが、塗りムラの無いように塗布するのが大切なので、肌にスプレーした後、手で塗り広げると効果的です。

効果の持続時間などは商品によって異なるため、商品に記載されている使用量や使用方法を守って使いましょう。

子どもの場合は保護者が塗布し、小さな子どもには使用できない商品もあるので、確認してから購入しましょう。

服装

肌の露出を少なくして虫さされを防ぐためには、長袖長ズボンがよいといえます。

黒や紺など濃い色は虫が寄ってきやすいといわれるので、淡い色の服装を選びましょう。

首や後頭部、耳は露出しやすいので、手ぬぐいやタオルを巻いたり、日よけ布のついた帽子を利用するのも効果的です。

古くから藍染の衣類には虫よけの効果があるといわれていますし、防虫の機能を備えた生地で作られた衣類もあるので、利用するのもよいでしょう。

寒い季節ではなくてもグローブは用意しましょう。

木や植物、地面などには虫が生息しているので、触れるときにはグローブをしている方が安全です。

その他の工夫

・ハッカ油

ハッカ油には虫よけの効果があるといわれています。

清涼感のある香りも楽しめ、子どもにも使うことができます。無水エタノール(薬局などで購入可)10mlにハッカ油を3~4滴たらし、水90mlを入れて混ぜます。

スプレーボトルなどに入れて使いましょう。

ハッカ油にはポリスチレンを溶かす作用があるため、ポリスチレン(PS)製のスプレーボトルは避けてください。

・風をあてる

顔には虫よけを使いにくいことがあります。

扇子や首にかけられる扇風機などで顔の周辺に風を送ると、気流が乱れて小型の虫は近寄ることができなくなります。

・防虫ネット

顔の虫よけのために、頭にかぶるタイプの防虫ネットがあります。

スポーツ用品店などでも購入することができますが、視界が悪くなることがあるため、使用の際には注意しましょう。

虫に刺されてしまったときの対処

軽症の場合は、セルフケアで様子をみるのも選択肢のひとつです。

刺された部位はむやみに触らないようにして、流水で流して清潔にしましょう。

冷やすとかゆみや腫れを抑えられることがあります。また搔きこわしを防ぐために、虫刺され用のパッチ剤を貼るのも効果的です。

市販の外用薬を使う

症状が軽い場合は、市販の外用薬でも軽快が期待できます。

主な外用薬にはかゆみを鎮める抗ヒスタミン薬と、炎症を抑えるステロイド外用剤があります。

目や口の周囲は使用を避け、顔に広範囲に使用するのはやめましょう。

症状に応じて、薬局やドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談して購入するとよいでしょう。

ステロイド成分が含まれた外用剤は、数日間使用しても症状が改善しない場合は使用を中止して、医療機関を受診しましょう。

医療機関の受診

ハチや有毒毛虫など、毒性の強い虫に刺されたことがわかっている場合や、次のような場合には皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

・刺されたあと発熱やじんましん、気分が悪くなるなどの症状があるとき。
・刺された部位の腫れやかゆみ、痛みなどの症状が強いとき。
・アレルギー体質の人が刺されたとき。
・市販薬を使用しても改善しないとき。

まとめ

草木が多い自然の中には、人に被害を及ぼす虫も多く生息しています。

中には強い毒を持つ虫も存在するので、注意が必要です。十分な対策をして、自然の中でのアクティビティを満喫しましょう。

症状が治まったあとも虫さされの痕が残ってしまうことがありますが、軽度のものであれば肌のターンオーバーとともに消えていきます。

肌のターンオーバーを促進するには、タンパク質やビタミン、ミネラルなど栄養バランスの良い食事が欠かせません。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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