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冬になると気分が落ち込む「ウインターブルー」とは?春までのメンタルケア

作成日:2022年1月30日

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冬になると気分が落ち込む「ウインターブルー」とは?春までのメンタルケア

ウインターブルーは北欧や英国など日照時間の少ない国に多い症状で、日本では秋から冬にかけて日照時間が短くなることで、気分が落ち込んだり体調不良が発生すると考えられています。

20~30代の女性に多く、発症率は男性の3倍以上ともいわれています。冬になるとなんとなく調子が悪いと感じる人は、ウインターブルーかもしれません。

ウインターブルーとは

ウインターブルーとは「季節性情動障害」といううつ病の一種です。「冬季うつ病」「季節性気分障害」などとも呼ばれます。

秋から冬に向けて抑うつが始まり、夏に向けて回復する特有のサイクルがあります。

<なぜウインターブルーが起こるのか>

ウインターブルーの発症は日照時間と深く関係していると考えられています。

人は朝起きて日の光を浴びると、脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンの合成が活性化し、睡眠に関係するメラトニンというホルモンの分泌が抑制されて体内時計が調整されます。

セロトニンは感情の制御にもかかわっているため、十分に日光を浴びることができないとセロトニンが不足し、疲労感や気分が落ち込むなどの症状があらわれると考えられています。

<ウインターブルーの症状>

ウインターブルーの症状は、一般的なうつ病とよく似ています。

・気分が落ち込む。
・疲れやすい。
・イライラしたり、不安になったりする。
・悲観的になったり、自分に対して否定的な感情になる。
・外出が億劫になったり、人と会いたくなくなる。
・集中力が低下する。
・今まで楽しかったことが楽しめない。

などの症状がありますが、ウインターブルーと一般的なうつ病の症状で異なるのが「食欲」と「睡眠」です。

一般的なうつ病では食欲不振や不眠の症状が多くみられますが、ウインターブルーでは、

・無性に甘いものが食べたくなったり、過食傾向になる。
・たくさん寝ていても常に眠気があり、過眠傾向になる。

という特徴があります。ただし、ウインターブルーでも食欲不振や不眠の症状があらわれるケースもあります。

ウインターブルーを防ぐには

冬は、健康な人でもセロトニンの分泌量が減少するといわれています。

光に当たる時間を増やす

医療機関で行われる治療法のひとつにも「光療法」という治療があります。これは自然光の代わりに高照度光照射装置を使って光を浴びる治療方法です。

冬は日照時間が短いので、少し早起きして朝の光を浴びるようにこころがけましょう。

散歩など外に出て軽い運動ができるのが理想的ですが、まずは洗濯物を干しにベランダに出たり、朝は早めにカーテンを開けることから始めてみましょう。

室内でもできるだけ窓際や光の当たる場所を選んで過ごし、午前中のうちに意識的に外出の機会を持つようしましょう。

規則的な生活

ウインターブルーには、体内時計の乱れも深くかかわっていると考えられています。

できるだけ就寝時間と起床時間を一定にし、食事も1日3食をできるだけ同じ時間に食べることをこころがけましょう。

リズミカルな有酸素運動

ウオーキングなど一定のリズムで行う有酸素運動はセロトニンの分泌を促進し、副交感神経を優位にすることがわかっています。

呼吸を止めずに一定のリズムで行う運動を毎日20分程度継続することが効果的といわれており、日の光を浴びながら行うことでより高い効果が期待できます。

ウインターブルーの予防に良い栄養

最も大切なのは栄養のバランスです。極端に偏った食事ではなく、いろいろな食品を広く摂ることをこころがけましょう。

その中でも特に、ウインターブルーの予防に効果的といわれる栄養素を挙げます。

・ビタミンB群

ビタミンB群は神経伝達物質の合成にかかわっています。

海外の研究ではビタミンB6、ビタミンB12、葉酸の投与によって抗うつ剤の治療効果が高まったという結果もあるようです。

ビタミンB6はカツオやマグロ、サケなどの魚、ビタミンB12はカキには特に多く含まれており、アサリやサバにも多く含まれています。

葉酸は鶏レバーのほか、モロヘイヤや菜の花、ほうれん草など葉物野菜にも多く含まれています。

・ビタミンD

ビタミンDは神経伝達物質の働きを改善させ、うつ症状を軽減させる可能性があるとして研究されています。

ビタミンDは、カツオ、しらす、ベニザケ、マイワシなどの魚に多く含まれています。また卵や干ししいたけもビタミンDを多く含みます。

・トリプトファン

トリプトファンはセロトニンの材料となるアミノ酸で、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、穀類などに多く含まれています。

ごまやピーナッツ、バナナなどもトリプトファンを多く含む食品です。

・鉄

鉄の不足が原因となる鉄欠乏性貧血は、疲労や集中力の低下などを引き起こしうつ症状に悪影響を与えることがあります。

鉄はレバーやカツオ、卵や貝類にも多く含まれています。

春に向けてのメンタルケア

冬は気温が低く交感神経が優位に働きますが、暖かくなるにつれて副交感神経の働きが優位となります。

冬から春へ移り変わる頃は「三寒四温」という言葉あるように、気温や気圧が大きく変化する日が続き、自律神経のバランスや体内時計が不安定となって不調を起こしやすくなります。

進学や就職など生活環境が大きく変わることも多い春に向けて、心身の調子を整えておきましょう。

睡眠時間の確保

睡眠は脳を休息させ、体の疲労を回復するために重要です。また寒い時期の睡眠不足は免疫機能の低下をまねき、感染症など体調不良のリスクを高めます。

個人差もありますが、毎日最低でも6時間以上の睡眠時間をとることが理想的といわれています。

忙しくても意識的に睡眠時間を確保し、睡眠負債をためないようにこころがけましょう。

またできるだけ就寝時間と起床時間は一定にして、リズムのある生活を送りましょう。

睡眠不足を感じたときは、15分程度の短時間の昼寝をするのも効果的といわれています。

食事の時間を大切にする

食事中は副交感神経が活性化します。食事の栄養バランスも大切ですが、食事はしっかりと時間を確保し、ゆったりとした気持ちで食べるようにこころがけましょう。

「仕事をしながら」や「スマートフォンを見ながら」の食事は避け、食事に集中してよく噛んで食べましょう。

「噛む」という動作はリズム運動であり、セロトニンの分泌を促進すると考えられています。

やわらかいものばかりではなく噛み応えのある食材をとり入れ、噛むことを意識しながら食べましょう。

時間に追われないようにする

次々とやることがあったり、「何時までに」「何時から」と時間に追われて過ごしていると、常に交感神経が優位となり緊張した状態が継続します。

仕事も休日も予定を詰め込み過ぎないようにしましょう。特に休日は余裕をもって、時間を気にせずにゆったりと過ごすことをこころがけましょう。

ウインターブルーについてのまとめ

ウインターブルーとは「季節性情動障害」といううつ病の一種で、秋から冬に向けて抑うつが始まり、夏に向けて回復するサイクルを繰り返します。

20~30歳の女性に多いといわれており、ウインターブルーの発症には日照時間が大きく影響していると考えられています。

ウインターブルーの予防や改善には、日光に当たる時間を増やすことの他に、規則的な生活やリズミカルな有酸素運動、栄養バランスの整った食事などが効果的です。

食事は広くいろいろな食品を食べるようにこころがけることで自然と栄養のバランスがとりやすくなりますが、ウインターブルーの予防や改善のためには、ビタミンB群やビタミンD、トリプトファンや鉄などは、特に意識的に摂りたい栄養素です。

疲労感があったり気分が落ち込んでいるようなときには、食事の準備も億劫になります。

無理をして食事の準備をするのもストレスになりますし、すぐに食べることができる菓子パンやカップ麺は体調を整えるために必要なビタミンやミネラルは不足しており、比較的カロリーは高いものも多く悪循環を招きます。

そのようなときのお食事の選択肢のひとつとして、配食のお弁当を利用するのはいかがでしょうか。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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