蒸しタオルで鼻づまりを緩和 慢性副鼻腔炎について
作成日:2022年2月24日
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慢性副鼻腔炎とは、蓄膿症のことで鼻水や鼻づまりなどの症状が12週間以上続く状態をいいます。
急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎に移行してしまうと治療に時間がかかり、場合によっては手術が必要となることもあります。
このページでは、慢性副鼻腔炎の症状や治療法などについて解説します。
目次
慢性副鼻腔炎について
鼻の穴(鼻腔)の周囲には副鼻腔という空洞があります。
副鼻腔には上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞があり、これらは全て鼻腔に通じています。
普通の風邪では鼻腔で細菌やウイルスなどの病原体が炎症を起こし1週間程度で治癒しますが、副鼻腔まで炎症が及ぶと症状が長引くことがあります。
副鼻腔の炎症が30日以内に治まる場合を急性副鼻腔炎といい、90日以上続く場合を慢性副鼻腔炎といいます。
慢性副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれます。
慢性副鼻腔炎を起こす原因は明確には分かっていませんが、慢性のアレルギーやタバコの煙、空気中の汚染物質、遺伝的素因などが関与していると考えられています。
慢性副鼻腔炎になると、鼻水や鼻づまりなどの症状が慢性的に続き、身体のだるさや味覚・嗅覚障害、睡眠不足などが引き起こされます。
また、極まれに細菌の感染が副鼻腔から眼の周囲にまで広がって眼の痛みや視覚障害が起こったり、脳の組織に広がって髄膜炎を起こったりすることもあります。
慢性副鼻腔炎の症状とは?
・鼻水
・鼻づまり
・顔の痛み、圧迫感
・後鼻漏(過剰に分泌された鼻水が喉まで流れ落ちてくる状態)
・口臭
・痰を伴う咳
・嗅覚障害
・味覚障害
・頭痛
・耳の痛み、耳閉感
・歯痛
・睡眠不足
・鼻ポリープ(鼻茸)
など
副鼻腔炎による症状は、炎症を起こしている部位によって違いがみられることもあります。
上顎洞が炎症を起こしていると、眼のすぐ下の頬の痛み、歯の痛み、頭痛が起こります。
また、前頭洞では額の痛み、蝶形骨洞炎では、頭の前部や後部に痛みを感じることがあります。
篩骨洞炎では眼の奥や両眼の間が痛み、涙目、(激しい額の痛みが起こります。
鼻ポリープ(鼻茸)はどうしてできるの?
慢性副鼻腔炎の患者の10~20%に鼻ポリープがあると言われています。
鼻ポリープは鼻の中の天井にあるにおいを感じる部分や、空気の通り道にできやすく、嗅覚障害や鼻づまりの原因となります。
鼻ポリープは放置しておくと大きくなり、症状が悪化することもあります。
鼻ポリープができる原因ははっきりと解明されていませんが、アレルギー物質や細菌などによって鼻の中の粘膜が刺激されて炎症が起こることで、粘膜の血管が膨張し、その一部分がキノコ状に突出することでできると考えられています。
通常は鼻の両側にできることが多いです。
慢性副鼻腔炎の治療法とは?
慢性副鼻腔炎では、副鼻腔に膿が溜まるため、膿を排出させて症状を和らげます。
しかし、副鼻腔と鼻腔をつなぐ穴が狭くなっていたり、分泌物の粘り気が強かったりする場合には鼻をかんでも排出できないこともあります。
そのため、膿が排出しやすくなるよう粘液溶解剤など分泌物の粘り気を改善させる薬を併用します。
病院では、鼻にたまった膿を機械で吸う「鼻吸引」や、生理食塩水などで鼻の中を洗う「鼻洗浄」を行い、鼻の中を綺麗にする処置が行われることもあります。
また、慢性副鼻腔炎では、急性期同様に抗菌薬を使用して治療が行われます。
ただし、急性期よりも一般的に4~6週間とより長く抗菌薬を使用します。
薬は内服薬のほか、霧状にして口と鼻から吸入するネブライザー療法も一般的です。
ネブライザー療法は、鼻が通っていないと効果を発揮できないため、上述した鼻吸引や鼻洗浄と合わせて行われることも多いです。
慢性副鼻腔炎の中には抗菌薬が効きにくく、治りにくいタイプのものもあります。その場合はステロイドが第一選択薬となります。
ステロイドには炎症を鎮める作用のほか、鼻ポリープを小さくする効果があります。
しかし、ステロイドは長期に渡って使用すると副作用があるため、治療を継続しても効果が薄い場合には手術が考慮されます。
手術は内視鏡を用いて行い、病的な粘膜(鼻茸)や副鼻腔に溜まった膿を取り除きます。
手術内容や回復の度合いによって入院期間は異なりますが、一般的な入院期間は全身麻酔で3泊4日、局所麻酔では1泊2日程度です。
術後2週間は出血を予防するため飲酒や喫煙、激しい運動、鼻を強くかむことは控える必要があります。
慢性副鼻腔炎の予防法とは?
慢性副鼻腔炎の発症のきっかけは風邪によることが多いため、予防の基本は風邪をひかないことです。
普段から規則正しい生活と、栄養バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。ストレスによる免疫力の低下も副鼻腔炎の原因となります。
適度な運動をし、しっかりと睡眠をとってストレスを溜め込まないことが大切です。
また、アレルギー性鼻炎や花粉症がある場合には慢性副鼻腔炎を併発しやすいため、症状が出たら早めの受診を心がけましょう。
副鼻腔炎の症状を和らげる方法とは?
・蒸気を吸入する。
蒸気を吸入すると粘膜の腫れが緩和され、一時的に分泌物の排出が促されます。
・蒸しタオルを副鼻腔の上に当てる。
蒸気を吸いながら鼻を温めることで症状を和らげる効果があります。
・寝る時は上半身を約30度上げた状態にする。
身体を起こしたほうが鼻の血流量が減るため、鼻づまりは楽になります。
鼻づまりで眠れない時は、枕などを重ねて身体を起こして寝るようにしましょう。
・鼻洗浄をする。
鼻洗浄では水道水をそのまま鼻に注入すると鼻の粘膜が傷つくため、生理食塩水を使用します。
生理食塩水は体液に近い濃度(0.9%)であるため、鼻に注入しても痛みを感じることなく洗浄することができます。
慣れないと鼻粘膜を刺激したり、耳に水が入って中耳炎を起こしたりすることもあります。
初めて行う場合は、市販の鼻洗浄器を使用するか、病院でやり方を指導してもらいましょう。
☆生理食塩水の作り方
(1)水道水を沸騰させます。
(2)水1Lに対し9gの食塩を加えます。
(3)冷ましてから使用できます。雑菌の繁殖を防ぐため、作り置きは避けましょう。
・市販の点鼻薬を使う。
点鼻薬を使うと一時的に症状が改善されます。
しかし、使い続けると症状を悪化させてしまうことがあるため、使用する頻度には注意しましょう。
また、自己判断で使用を開始せず、副鼻腔炎を疑う症状があれば一度耳鼻科を受診し、補助的に市販の点鼻薬を使用しても良いか確認する必要があります。
慢性副鼻腔炎についてのまとめ
副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌による感染が原因で発症し、12週以上症状が続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。
症状があるのに放置したり、治療を中断したりすると、治るまでに時間がかかり、場合によっては手術が必要になることもあります。
日頃から規則正しい生活を心がけて免疫力を高め、症状がある時は早めに耳鼻科を受診することが大切です。
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