低血圧症は入浴や睡眠、食事で改善しよう!
作成日:2021年12月28日
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血圧とは、心臓から送り出される血液が血管の壁を押す圧力のことです。血圧が低いこと自体には治療の必要はないとされています。
しかし血圧が低いことによって、体調不良や臓器の機能障害が起こることがあります。
正常血圧とは
血圧は誰でも常に変動しています。
一般的には朝起床時に大きく上昇し、昼食時に最も高くなり、夕方以降は低下していきます。睡眠時は最も血圧が低い状態といわれています。
血圧の上と下
血圧には「上の血圧」と呼ばれる収縮期血圧と、「下の血圧」と呼ばれる拡張期血圧があります。
「上の血圧」は心臓が収縮して血液を押し出しているときの圧力で、血管壁に強い圧力がかかった状態です。
「下の血圧」は心臓が拡張していて血流の勢いが弱まり、血管壁にかかる圧力も低下している状態です。
血圧の基準値
病院で測定したときの血圧が「120mmHg未満かつ80mmHg未満」が正常血圧、「120~129mmHg未満かつ80mmHg未満」が正常高値血圧と呼ばれ、正常範囲内の血圧値とされています。
低血圧の基準値
日本では低血圧の明確な診断基準はありませんが、一般的に上の血圧が100mmHg未満の場合に低血圧と診断されています。
血圧が変動する要因
・心拍出量
心臓が1分間に送り出す血液の量を心拍出量といいます。1回の拍動で送り出す血液の量が多い(心臓の拍動が強い)ほど、心拍出量は増えて血圧は上がります
・末梢血管抵抗
末梢の毛細血管に血液が流れ込むときに受ける抵抗が強いと、血液が流れにくくなるため血圧は上がります。
・循環血液量
体内を循環している血液の総量が減少すると血圧は下がります。反対に血液量が増えると血圧は上がります。
・血液の粘性
血液中の固形成分の割合が増える、または液体成分が減少すると、血液の粘性が強くなって流動性が低下するため血圧が上がります。
・大動脈の弾力
大動脈に動脈硬化が起こると血圧は上がります。
血圧の日内変動と自律神経
血圧が1日の中で変動することを血圧の日内変動といい、日内変動は自律神経と深くかかわっています。
自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があり、片方が活発になっているときは、もう片方の働きは弱まっています。交感神経が活発な時に血圧は上昇し、副交感神経が活発な時に血圧は下降します。
低血圧とは
低血圧は体質によるものと、疾患が原因のものがあります。疾患が原因の場合は疾患の治療が必要となりますが、体質による場合は日常生活に支障がなければ、特に治療の必要はないと考えられています。
しかし血圧が低いことによっさまざまな症状があらわれることがあります。
低血圧の種類
・本態性低血圧(一次性低血圧)
原因となる疾患などがなく、慢性的に血圧が低いことを指します。低血圧の多くは本態性低血圧で、遺伝の影響が大きいと考えられています。
・症候性低血圧(二次性低血圧)
疾患や薬の副作用など、何らかの原因によって血圧が下がっている状態を指します。疾患の治療や服薬の調整や中止など、原因を排除することで改善する可能性があります。
・起立性低血圧
急に立ち上がったり動いたときに、血圧が急激に下がった状態を指します。
自律神経による血圧調整の不調で、下半身にたまった血液が心臓に戻りにくくなることでおこります。
一時的なことが多く、急な体位変換を避けることで予防できますが、何らかの疾患が原因となっていることもあるため、頻繁に繰り返す場合には受診が必要です。
・食事性低血圧
食事によって血流が胃に集中し、血液が心臓に戻りにくくなることで起こります。
食後に倦怠感や強い眠気が起きたり、立ちくらみや失神、吐き気などの症状が出ることもあります。
食事はよく噛んでゆっくり食べて食べ過ぎを防ぎ、食後はしばらく休憩することである程度の予防が可能ですが、症状が改善されない場合には何らかの疾患が原因となっていることもあるため、受診が必要です。
低血圧による症状
血圧が低くなることで全身に十分な血液が循環しないと、細胞に酸素や栄養素を十分に供給されないことで、さまざまな症状があらわれることがあります。
さらに血圧が低い状態が継続することで、細胞や臓器の機能に悪影響を及ぼす恐れもあります。
低血圧の症状は、倦怠感、疲労感、めまい、立ちくらみ、頭痛、肩こり、耳鳴り、不眠、胃もたれ、動悸、息切れ、不整脈など多岐にわたりますが、市販の鎮痛剤や胃薬、栄養剤などで一時的に改善することも多いため、医療機関の受診が遅れる、または受診しない傾向があります。
低血圧に加えて症状が継続している場合は、日常生活に支障をきたすような状態になる前に、医療機関を受診することをお勧めします。
低血圧改善のためにできること
低血圧を改善するために、日常生活の中でできる方法を試してみましょう。
<低血圧に良い食事と栄養>
低血圧の人は、胃腸が弱い傾向もあるようです。食事はゆっくりとよく噛んで食べるように心がけ、食べ過ぎに注意しましょう。
冷えを感じる場合は冷たいものは控え、温かいものを摂るようにしましょう。
・タンパク質
タンパク質は体を構成する重要な栄養素であり、不足すると筋肉量が減少する可能性があります。タンパク質は1日に体重1㎏あたり0.8~1gが目安です。
肉や魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品などのいずれかを、毎食取り入れるように心がけましょう。
・鉄
鉄は血液の材料となります。血液の健康は血圧の維持につながります。
・ビタミンE
ビタミンEは末梢血管を拡張して血流を改善する効果が期待できます。良好な血液循環は血圧の維持につながります。
・水分
必要十分な水分摂取は血液の量を増やし、血圧を上げると考えられます。
必要な水分量は体格や運動量などによっても異なりますが、1日に飲料として1~2リットルを目安に、こまめに水分を摂りましょう。
・塩分
高血圧の人は控えた方がよいとされる塩分ですが、低血圧の人では塩分の摂取も必要なことがあります。
過剰に摂る必要はありませんが、健康な成人の塩分摂取量の目標量である男性は1日に7.5g未満、女性は1日に6.5g未満を目安に摂るようにしましょう。
・カフェイン
カフェインには交感神経を刺激して血液の循環をよくする効果が期待できます。
特に食後にお茶やコーヒーなどを飲んで適量のカフェインを摂ることは、食後低血圧には有効と考えられます。
<低血圧を改善する生活習慣>
・規則正しい生活
自律神経のバランスを整えるために、規則正しい生活は重要です。
休日でもできるだけ同じ時間に起床し、朝に日の光を浴びるようにすることで、副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズになります。
朝食は抜かずに、3食摂ることを心がけましょう。
・睡眠
寝不足を避け、十分に睡眠をとりましょう。個人差もありますが、1日6時間以上の睡眠をとることが理想的です。
・入浴
入浴は自律神経のバランスを整えるためには有効ですが、血管が拡張して血圧は下がります。熱いお湯や長湯は避け、入浴前には十分に水分を摂取しておきましょう。
・適度な運動
低血圧の場合、末梢の血液が心臓にうまく戻らない可能性があります。
末端部の筋肉、特にふくらはぎの筋肉は血液の循環に大きな役割があると考えられているため、ふくらはぎの筋肉が鍛えられる運動は有効です。
まとめ
一般的には上の血圧(収縮期血圧)が100mmHg未満の場合に低血圧とされますが、日本では明確な診断基準はありません。
血圧が低いだけで特に自覚症状などがなければ、治療の必要はないとされています。
しかし低血圧が原因で体調不良が起きたり、疾患が低血圧を引き起こしていることもあるため、症状が継続している場合は医療機関を受診しましょう。
特に症状がない場合は、日常生活の見直しで改善する可能性もあります。
血圧は自律神経の働きに影響を受けるため、自律神経のバランスを整えることも大切です。
規則的な生活と十分な睡眠、栄養バランスの整った食事は、低血圧の改善にも役立ちます。
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