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衛生害虫とは~害虫が引き起こす病気について

作成日:2022年5月29日

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衛生害虫とは~害虫が引き起こす病気について

人や家畜、農産物などにとって有害な虫を害虫といい、害虫の中には人を死に至らしめる毒性を持つものもいます。

気温と湿度が高くなるこの時期は、特定の害虫にとって過ごしやすい季節であるため、対策を怠ると害虫たちに増殖のきっかけを与えかねません。

このページでは、害虫が引き起こす病気や注意が必要な害虫などについて解説します。

人間の病気の原因となる害虫とは

害虫と呼ばれる昆虫の中には、人間に直接的に危害を加える昆虫や、ウイルスや細菌を運んで間接的に健康を害する昆虫がいます。

このように人や家畜に対して害を与える昆虫を衛生害虫といいます。

衛生害虫の中で代表的なのは蚊です。

ウイルスなどの病原体に感染した人や動物の血を吸った蚊に刺されることで、様々な感染症にかかるおそれがあります。

日本では、日本脳炎以外の蚊が媒介する感染症は海外からの輸入感染症としてみられていますが、2014年にはデング熱の国内感染例が報告されました。

また、私たちの身の回りに多く生息しているダニも病気を引き起こす原因となります。

ダニは、死骸や糞によるアレルギー症状や、病原体を保有するダニに咬まれることで感染症を引き起こします。

ほかにもハエやゴキブリ、ハチなど私たちの身近には様々な衛生害虫が存在しています。

近年では今まで日本に生息していなかった外来生物による危険も身近に迫ってきています。

人間の生活を脅かす危険な外来生物

近年では世界の国々との貿易が盛んになったことにより、外国からの輸送船や飛行機に乗って、高い毒性を持つ外来生物の恐怖が迫ってきています。

外来生物のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすものや、及ぼすおそれがあるもののなかから外来生物法に基づき国が指定した生物を特定外来生物といい、飼育や運搬・輸入・放出などが規制されています。

最近日本でも発見され、問題となっている特定外来生物がヒアリです。

英語では「ファイヤーアント」といい、その名の通り刺されると焼けつくような痛みが起こります。

体質によっては強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こすおそれがあります。

ヒアリは本来南米中部に生息するアリですが、船や飛行機に詰まれたコンテナや貨物に紛れ込んで、原産地から遠く離れた国に侵入しています。

2017年に兵庫県で見つかって以来、愛知県や大阪府など様々な場所で確認されており、発見された際には緊急駆除と継続的な監視調査が行われています。

参考:https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/02_general/index.html

環境省『特定外来生物ヒアリに関する情報 』

衛生害虫が及ぼす健康被害と位置付け

位置付け 害虫名 被害内容
病原体媒介 コガタアカイエカ、ヒトスジシマカ、

イエバエ、ゴキブリなど

病原微生物の媒介
吸血 アカイエカ、ネコノミ、アタマジラミ、

ブユ、ダニの仲間など

刺咬・吸血による被害
有毒 刺咬 スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、

サシガメなど

刺咬による皮膚炎や

アレルギー

皮膚炎 チャドクガ、イラガ、

アオバアリガタハネカクシなど

有毒物質による皮膚炎
アレルゲン ヒョウヒダニ、ユスリカなど アレルギー性疾患の

アレルゲン

注意が必要な衛生害虫とは?

・蚊

蚊は吸血する際に唾液を注入し、この唾液がアレルギー反応を起こすことで痒みを生じます。

また、蚊は日本脳炎やマラリア、デング熱、ウエストナイル熱、フィラリアなど様々な感染症を媒介します。

これらの病気は熱帯・亜熱帯地域で多い感染症ですが、地球温暖化の影響や海外との往来の増加によって日本への上陸も目前と考えられており、注意が必要です。

マラリアは熱帯病の中でも最大の感染者数を有する感染症であり、年間死亡者は150万~270万人と推定されています。

デング熱は、熱帯・亜熱帯地域に広く分布するウイルスで、地球温暖化の影響で現在は台湾まで流行が北上しています。

・ハエ

ハエは糞や動物の死骸などを好む習性があり、大腸菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラなどの食中毒の原因菌や、赤痢、コレラ、チフスなどの病原菌を運搬します。

O-157(腸管出血性大腸菌感染症)もハエによって媒介され、日本でも1996年に集団発生し、その後も被害が続いています。

ハエによって人や家畜に媒介される病気は60種類以上あると言われていますが、住環境の向上でハエは減少傾向にあり、衛生害虫としての意識が薄れ、危機意識が低下していることが懸念されています。

・ダニ

ダニは昆虫ではなくクモやサソリの仲間です。高温多湿を好むヒョウヒダニの糞や死骸はアレルギー性疾患の原因となります。

マダニは屋外にいる大型のダニで感染症を媒介することがあります。

マダニは春から秋にかけて活動が盛んになり、山や公園、河川敷、庭などの身近な場所に存在しています。

マダニは日本紅斑熱や、ライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの様々な感染症を媒介します。

SFTSは平成25年に国内で初報告されて以来、報告件数は年々増加傾向にあります。

SFTS に有効な治療法やワクチンは未だなく、致死率は6~30%と報告されています。

従来は西日本に限局されていましたが、現在では広い地域で潜在的に存在することが明らかになりつつあります。

・シラミ

シラミは生活環境の向上で日本から姿を消したと思われていましたが、海外との往来が増えたことで持ち帰りや輸入が増え、再び各地で繁殖し始めています。

人を吸血するのはヒトジラミとケジラミです。頭髪に生息するヒトジラミをアタマジラミといい、近年では児童を中心に発生しています。

ケジラミは人の陰毛部に発生します。

シラミは、吸血により激しい痒みや化膿を引き起こすだけでなく、発疹チフスの病原体であるリケッチアを媒介します。

・ハチ

セイヨウミツバチは刺激を与えなければ攻撃しませんが、キイロスズメバチは攻撃性が高く、巣に近づくだけで危険です。

ハチに刺されると痛みや発赤、痒みを生じるだけでなくハチの毒に対してアレルギー反応を示す場合に、アナフィラキシーショックによって生命を脅かす危険な状態になることもあります。

最もハチの巣が大きくなるのは9~10月頃で、年間30~40人の死者が出ています。

・クモ

クモはほとんどの種が無害で、害虫を捕食する益虫とされていますが、中には毒グモも存在します。

国内で見られるクモのうち、注意が必要なのはカバキコマチグモ、イイロゴケグモなどです。

カバキコマチグモは在来種の中では最も毒性が強く、海外では死亡例も報告されています。

最近では、セアカゴケグモという今まで日本にいなかった外来種が定着しており、噛まれると激しい痛みを伴います。

重症例では進行性の筋肉麻痺が生じることもあります。

・ゴキブリ

ゴキブリは下水や排水口などの不衛生な場所から家へ侵入し、全身に菌をまとった状態で動きまわるため家中に雑菌をばら撒きます。

ゴキブリが媒介するおそれのある病原菌はサルモネラやO-157、ピロリ菌などです。

また、ゴキブリの糞や死骸から出た粉塵がアレルゲンとなり、喘息などのアレルギー症状を引き起こします。

まとめ

高温多湿の環境では多くの衛生害虫が発生しやすくなります。

近年では、下水道の普及や都市化の進展により環境が整備された結果、衛生害虫が起因の疾病は減少傾向です。

しかし、衛生害虫たちは現在の都市環境に適応し、繁殖し続けています。

衛生害虫が自宅に発生したり、刺されたりなどの被害が生じた場合には、保健所への相談や、害虫駆除業者を利用すると良いでしょう。

病気から身を守るためには免疫力を高めることが大切です。免疫力向上の要は毎日の食事にあります。

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この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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