夏の水虫対策と治療~くり返す人は要注意の季節
作成日:2022年5月29日
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水虫とは
水虫はカビの一種である白癬菌によって引き起こされる病気です。
白癬菌はもともとは土の中に存在していましたが、進化の過程で、人の皮膚表面のケラチンというタンパク質を栄養として繁殖するようになりました。
水虫の4タイプ
水虫は4つのタイプがあり、それぞれ症状が異なります。
・趾間型
水虫の中で最も多くみられるもので、足の指の間の皮がむけたり、白くふやけてジュクジュクとします。
・小水疱型
足の裏や足の側面に2~3㎜の小さな水疱ができ、かゆみが強いのが特徴です。
小さな水疱が増えて水疱同士がくっつき、大きな膿疱(のうほう)になることもあります。
・角質増殖型
足の裏がカサカサして皮膚が厚くなり、ひび割れることがあります。かゆみは少なく、皮膚の乾燥と間違えやすい水虫です。カサカサした皮膚が剥がれ落ち、床やスリッパなどから他の人に移してしまう可能性が高いため注意が必要です。
・爪の水虫
上記の足の水虫を放置すると、爪の中に水虫の菌が侵入し、爪の水虫(爪白癬)になることがあります。
足以外の水虫
・股部白癬(インキンタムシ)
股部周辺の皮膚に白癬菌が感染して発症します。比較的若い男性に多く、非常に強いかゆみが生じます。
本人の水虫のほか、公衆浴場や洋式トイレの便座から感染することがあります。
・体部白癬(ゼニタムシ)
体や腕、脚などに、かゆみを伴う環状に盛り上がった発疹が生じます。
本人の水虫のほか、動物や身体の接触があるスポーツなどから感染することもあります。
・頭部白癬(シラクモ)
白癬菌が頭皮に感染して発症します。フケや脱毛の症状があり、悪化すると頭皮が化膿したり、脱毛範囲が広がることがあります。
白癬菌の種類
水虫の原因菌は数十種類存在すると考えられていますが、日本では5~6種類が知られています。その中でも主な種類を挙げます。
・トリコフィトン・ルブルム
最も代表的な水虫の原因菌で、角質増殖型の足水虫を引き起こします。
トリコフィトン・ルブルムはヒト好性菌で、一度寄生されると再発しやすい白癬菌です。
・トリコフィトン・メンタグロフィテス
トリコフィトン・ルブルムと合わせて、代表的な水虫の原因菌です。主に小水疱型の足水虫を引き起こします。
・トリコフィトン・トンスランス
皮膚と皮膚の接触で感染します。2000年頃から日本での感染者が増えており、新型水虫と呼ばれることもあります。
柔道などの格闘技の際、相手に接触しやすい頭部や顔、首などから感染しますが、症状がほとんど出ないこともあり、感染に気付かないままの保菌者が多く存在すると考えられています。
・ミクロスポルム・カニス
主に犬や猫に寄生している白癬菌です。
ミクロスポルム・カニスに感染している動物に触れると、皮膚の毛穴に入り込んで体部水虫を引き起こします。
ペットを飼う人が増えるとともに感染者も増加傾向にあり、感染が発覚した場合は人と動物が一緒に治療する必要があります。
どうしてくり返すのか
水虫は適切な治療で完治するにもかかわらず、再発をくり返す人が多い病気です。くり返す理由は何でしょうか。
季節の変化
白癬菌は気温が低く乾燥した環境では増殖が抑制されて数が減少してきます。
冬は白癬菌の減少で症状が一時的に改善するため治ったようにも感じますが、季節が変わって高温多湿な環境になってくると、白癬菌は増殖を始め再び症状が出てきます。
自己判断による治療の中止
水虫を繰り返す人の多くは、症状が回復してくると、自己判断で治療を中止してしまうことで再発をくり返すことがあります。
・かゆみが治まった
・水疱が消えた
・ジュクジュクしなくなった
・痛みやかゆみがなくなった
など症状が軽減した場合でも、医師が顕微鏡で患部の皮膚を観察すると白癬菌の存在が確認されることがあります。
一定期間、医師の指示通りに薬を使用しても薬の効果が実感できない場合でも自己判断で治療を中止せず、その旨を医師に伝えて相談しましょう。
白癬菌は死滅しにくい
足の皮膚は角質が厚く、皮膚の深い部分に白癬菌が潜んでいることも多くあります。
目に見える症状が治まっても、原因となる白癬菌が完全に死滅するまでは治療を継続しなくてはなりません。
皮膚の新陳代謝にあわせた治療を行うこともあるので、症状が治まったと感じてからも医師の指示に従って、根気よく数か月は治療を続ける必要があります。
水虫の治療
水虫は皮膚科を受診し、医師の指示のもとで治療するのが理想的です。
皮膚科では患部の組織を採取し、顕微鏡で白癬菌の存在が確認できるため、再発のリスクが低くなります。
外用薬
主成分はラノコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、アモロルフィンなどの抗真菌薬です。
・軟膏
油性基剤に有効成分が混合されています。比較的刺激が弱く、塗布した部分にとどまるため、皮膚の保護や保湿の効果もあります。
ベタつきがあるので使いにくいと感じることがあります。
・クリーム剤
軟膏剤よりもやわらかい基剤を使用しており、ベタつきにくく伸びがよいのが特徴ですが、軟膏と比較するとやや刺激が強いものもあります。
・液剤
水やアルコールを基剤としています。浸透力に優れ、軟膏やクリームが塗りにくい部位にも適しています。
アルコールを含んでいるものは、患部の状態によってはしみることがあります。
内服薬
内服薬は医師の処方がある場合にのみ使用できます。医師の指導のもと、適切に使用することが必要です。
・イトラコナゾール
真菌の細胞膜の合成を妨げます。ほかの薬剤との併用に注意が必要であり、定期的な血液検査などが義務付けられています。内服薬のほかに注射薬もあります。
・テルビナフィン
真菌の細胞膜の合成を防ぎます。ほかの薬剤との相互作用は少ないと考えられていますが、医師の指導のもとで使用します。内服薬のほかに外用薬もあります。
セルフケア
日常的なセルフケアによって再発を予防したり、治療効果を高めることも期待できます。
・毎日石けんでよく洗い、患部を清潔にする
室内で靴を脱ぐ習慣のある日本では、自分の家以外でも裸足で歩く機会もあります。
不特定多数が利用する入浴施設などでは足を洗ってきても、帰宅してからもう一度足を洗うようにしましょう。
足の指の間も開いて、ていねいに洗いましょう。
・足が蒸れないようにする
白癬菌は高温多湿の環境を好みます。
足が蒸れないように通気性のよい靴下を利用したり、日中でも靴を脱ぐ時間を作るのが理想出来です。
帰宅後は足だけではなく、靴もよく乾燥させるようにしましょう。
・薬をしっかりと塗る
基本的には医師の指示に従って塗りましょう。
症状が気になる部分だけではなく、広範囲に塗り、症状によっては両足に塗るのが効果的な場合もあります。
・家族は一緒に治療する
同居している人の中に、1人でも水虫の人がいれば、常に白癬菌を含んだ角質細胞がばらまかれていることになります。
家の中で白癬菌のやり取りをすることになりかねないので、家族が協力して治療や予防に取り組むことが大切です。
まとめ
水虫は白癬菌に感染することで引き起こされる病気で、適切な治療によって完治が可能です。
しかし白癬菌は死滅しにくく、高温多湿の環境を好みますが、乾燥した環境でも潜伏して生きていることがあります。
適切な治療のためには皮膚科を受診し、症状が治まっても医師の指示に従って、完治まで治療を継続することが再発を防ぐために重要です。
食事で水虫を改善することはできませんが、栄養バランスのよい食事を心がけることで免疫力を高め、皮膚の新陳代謝を促すことは、水虫の再発予防や治療効果を高めるために役立ちます。
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