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血圧に左右差がみられる疾患について

作成日:2022年1月30日

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血圧に左右差がみられる疾患について

右と左で血圧を測った価に差がある…ということはありませんか?

血圧に大きな左右差がある場合は、病気が原因となっている可能性があります。

このページでは血圧に左右差がみられる原因などについて解説します。

血圧に左右差がみられるのはなぜ?

血圧とは心臓から送り出された血流が血管の内側を押す力のことであり、最高血圧とは血液を送り出す時に心臓が収縮して血管に圧力がかかっている状態の値、最低血圧とは次に送り出す血液を溜めるために心臓が拡張しているときの値のことを指します。

血圧の値は、心臓が一回の拍動で全身に送り出す血液の量や、血管の弾力性、血液の粘度、腎臓の働きなど様々な要因が関係しています。

血圧は常に一定の値ということではなく、測定する時間帯や運動、食事や精神的ストレス、室温などによって変化します。

元来、血圧には左右差はほとんどありませんが、人によっては右上腕の血圧の方が、左上腕の血圧よりもわずかに高いこともあります。

これは、大動脈から鎖骨下動脈に続く血管が左側より右側に早く分岐することによると考えられています。

しかし、血圧の左右差が10~20mmHg以上あるのは異常であり、何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。

血圧の左右差の原因となる病気とは?

・動脈硬化症

動脈硬化は、血液中の悪玉コレステロールが動脈の血管に沈着しやすくなることで血管が硬くなり起こります。

動脈硬化により、腕に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすることがあり、血圧に左右差が出ることがあります。

動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、心臓や脳動脈などの動脈が閉塞して命に関わることもあり、「サイレントキラー」とも呼ばれます。初期の症状は無症状であることがほとんどです。

・大動脈解離

大動脈は内膜、中膜、外膜の3層構造となっています。大動脈解離は、内膜の一部に亀裂が生じ、外膜から外れてしまう病気です。

大動脈解離は前述した動脈硬化が原因で起こり、鎖骨下の動脈が解離すると左側の血圧が低下します。

解離に伴い血管に瘤が出来て破裂することもあります。

・高安動脈炎(大動脈炎症候群)

高安動脈炎とは、大動脈やそこから分岐している大血管に炎症が生じ血管が狭窄したり閉塞したりする病気です。

脳や心臓などの重要な臓器に障害を与えるなど、炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がみられます。

高安動脈炎の原因は不明であり、患者の9割が女性という国の指定難病です。

前述した動脈硬化や大動脈解離同様に血管が狭窄・閉塞している部位とそうでない部位とでは血圧に差がみられます。

血圧に左右差があるとどんな影響があるの?

動脈に詰まりがある場合は、詰まっている前で測定すると血圧は高くなり、反対に詰まっている先で測定すると低くなります。

例えば右側の血管に詰まりがある場合、毎日右側で測定していると本来の血圧の値よりも低く出てしまうため、高血圧の治療が遅れる可能性があります。

高血圧が進行すると脳血管疾患や循環器病などの病気となって突然死のリスクが高まります。

このように血圧の左右差を見逃してしまうと命に関わる事態になりかねないのです。

そのため、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、初診時に上腕部の血圧の左右差を確認することが明記されています。

治療による目標血圧値(mmHg)

診察室血圧 家庭血圧
若年者、中年者

前期高齢者(65~74歳)

140かつ90未満 135かつ85未満
後期高齢者(75歳以上) 150かつ90未満 145かつ85未満
(様子を見ながら下げられれば) 140かつ90未満

 

135かつ85未満
糖尿病、慢性腎臓病患者 130かつ80未満 125かつ75未満

正しい血圧の測り方とは?

心臓の高さに近い上腕部で測定した値が最も安定しているため、正しく血圧を測定するには上腕血圧計が適しています。

右利きの人は左上腕部で測定することが一般的ですが、時々は左右の腕で血圧の左右差が無いか確認してみましょう。

測定する時間は、毎日朝・夜の決まった時間にしましょう。

朝は起床後1時間以内、トイレを済ませ食事や薬を飲む前に測定します。夜は就寝前に測定しましょう。測定は2回行い、平均値を手帳に記録します。

血圧を測定する際は、座って安静にした状態で行います。腕帯は直接、または肌着の上から巻きましょう。

上着の袖をたくし上げてしまうと血管が圧迫され正しい値で測定できないことがあるためです。

腕帯は肘にかからないようにし、心臓と同じ高さで計ります。測定中は身体や腕を動かさないようにしましょう。

そくていした血圧は血圧手帳などに記録し、受診時に医師に提出しましょう。血圧手帳とは、測定した血圧を記録するためのツールです。

自分で書き込む手帳の他にもスマホのアプリを使って記録する方法もあります。

血圧手帳に毎日の血圧を記録しておくことで、普段の血圧を医師がひと目で確認できるため、治療内容の決定や変更に役立ちます。

血圧の左右差の原因となる動脈硬化を予防するための食事とは?

血圧の左右差や突然死をもたらす病気を予防するために、血管を狭窄・閉塞させる原因となる動脈硬化を食い止めることが大切です。

動脈硬化は高血圧や脂質異常症などがあるとリスクが高くなるため、血圧を下げたりコレステロールを下げたりするための食事療法が必要となります。

・3食バランス良く、主食、たんぱく質、野菜を摂る

量とバランスに気をつけ、3食しっかり食べることが大切です。

野菜には食物繊維が多く含まれており、水溶性の食物繊維は、体内のナトリウムを一緒に排出させる働きがあります。

また、食物繊維には小腸でのコレステロールの吸収や食後の血糖値の急上昇を抑える効果もあるため、高血圧だけでなく高脂血症や糖尿病の人にも効果があります。

厚生労働省が推進する健康作り運動「健康日本21」では野菜は1日に350g以上摂取することが推奨されています。

たんぱく質には血管の老化を予防する働きがあります。たんぱく質は肉類、魚介類、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。

・味付けは薄めにする

塩分の摂取過多は高血圧の原因となります。

血圧が高い状態が続くと血管の壁が傷つきやすくなり、そこからコレステロールなどが入り込んで動脈硬化が促進されます。塩分は1日6g未満を目標に減塩しましょう。

・動物性脂肪、トランス脂肪酸は摂り過ぎない

→悪玉コレステロールを増やすため、脂身のついた肉、加工肉、レバー、バターや生クリームをたくさん使った料理、魚卵など動物性脂肪やコレステロールが多い食品などの動物性脂肪は摂り過ぎないようにしましょう。

マーガリンやショートニングも悪玉コレステロールを増やすトランス脂肪酸を多く含みます。これらは、パンや菓子類、加工食品などに使われています。

・糖質、甘いものの過剰摂取は控える

血糖値が上がりすぎると血管が傷つき、動脈硬化が促進され、血栓ができやすくなります。

・青魚を積極的に摂る

いわしやさんま、さばなどの青魚にはDHAやEPAという成分が多く含まれているためです。

悪玉コレステロールを下げたり、血栓をできにくくする効果があります。

・いも、葉野菜、豆類、海草、きのこ、こんにゃく類を積極的に摂る

食物繊維が豊富であり、悪玉コレステロールを下げる効果があります。

いもや葉野菜にはカリウムが豊富に含まれているため、降圧作用や脂質代謝を改善させる効果もあります。

果物、野菜などに含まれるカリウムは煮ると約30%が煮汁に溶け出してしまいます。

そのため生で食べたり、ジュースにしたり炒め物などにすると効率的に摂取することができます。

まとめ

血圧に10~20mmHg以上の左右差がある場合には、動脈硬化や大動脈解離などの病気が潜んでいる可能性があり、高血圧が見逃されてしまうと突然死のリスクが高くなります。

毎日正しい方法で血圧を測定し、自分の健康管理に役立てましょう。

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参考:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」解説冊子

この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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