毎日同じ向きにしない!胃ろうのメリットやケアのポイント
作成日:2022年1月30日
こんにちは!宅食ライフのコラム担当です!
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胃ろうとは、胃に小さな穴をあけ、カテーテルを通して直接栄養を補給する経管栄養法であり、何らかの理由で口から食事を摂ることができない場合の栄養管理に用いられます。
このページでは、胃ろうのメリットやデメリット、ケアのポイントなどについて解説します。
目次
『胃ろう』とはどんなもの?
胃ろうとは、口から食べ物を摂取できなくなった場合に、胃に小さな穴をあけ、直接胃を通して栄養を摂る方法をいいます。
経口以外に栄養を補給する一般的な方法としては、胃ろうの他に、鼻からチューブを入れて栄養剤を注入する経鼻胃管栄養や、中心静脈から点滴で栄養を補給する経静脈栄養があります。
胃ろうは経鼻胃管栄養や経静脈栄養よりも患者さんにとって負担が少なく、自宅で管理がしやすいという特徴があります。
また、胃ろうは、経口摂取が難しい方の栄養管理のほか、がんなどによって腸が閉塞してしまった場合に消化管の減圧を目的として行われる場合もあります。
しかし、胃ろうは作ることがゴールではありません。患者さんの状態によっては再び口から食べることを目指して胃ろうを増設することもあります
。胃ろうから栄養を摂取することで栄養状態が改善して体力がつき、その結果意識状態の改善や日常生活動作(ADL)が向上して経口摂取が再開できた、という事例もあります。
胃ろうが適応となる疾患
・重症の遷延性意識障害
・脳血管疾患、認知症、神経難病など
・誤嚥性肺炎を繰り返す場合
・咽頭や食道、胃に狭窄がある場合
・炎症性腸疾患(クローン病など)で長期に渡る成分栄養が必要な場合
・腸閉塞(減圧目的)
『胃ろう』のメリット・デメリット
<メリット>
・栄養状態が安定し、リハビリテーションによる機能回復や免疫力の改善が期待できる。
・胃ろうがある状態でも経口摂取は可能。
・口から十分な栄養を摂取することが可能となれば胃ろうを除去することができる。
・誤嚥性肺炎にかかりにくくなる。
・経鼻経管栄養より誤ってチューブを抜いてしまうことが少ない。
・服の下に隠すことができる。
<デメリット>
・胃ろう増設には手術を伴う。
・胃ろうカテーテルは定期的な交換が必要。
・唾液の分泌量が減るため口腔内に細菌が繁殖しやすくなる。
・経口摂取の機会が減るため、嚥下機能が低下する。
『胃ろう』の種類について
胃ろうカテーテルには、胃内部、胃外部のそれぞれカテーテルの形状が2種類ずつあります。
それぞれの組み合わせで4種類あり、患者さんの認知機能や療養環境、介護者の状況などを考慮して選択されます。
<体外部>
・ボタン型
体外の固定板がボタン型で、ボタンを開けて栄養剤を注入する時はチューブを接続します。
ボタン型は目立たないため、誤って抜けてしまうリスクを減らすことができます。
・チューブ型
栄養剤投与時にチューブとの接続が容易ではありますが、チューブ内が汚染されやすいという特徴があります。
また、体外にチューブが出ているため、栄養剤を注入していない時でも患者さん自身で抜いてしまったり、介助者が誤って引っ張ったりしないよう気を付ける必要があります。
<体内部>
・バンパー型
胃の内壁に固定されているため抜けにくく、交換までの期間が約半年とバルーン型よりも長くなっています。
しかし、抜けにくい構造となっているため交換には内視鏡または透視の設備が必要であり、交換時に痛みや圧迫感を感じるなど患者さんへの負担が大きいというデメリットがあります。
・バルーン型
バルーン内に蒸留水を入れて膨らませて固定するため、交換が容易で痛みを感じにくい一方、交換期間が1~2か月と短いです。
また、バルーンが破裂する恐れがあり、短期間での交換が必要となることもあります。
『胃ろう』のケアのポイント
・栄養剤を注入している間と注入後1時間程度は上体を30度以上起こしておく。
胃に注入した栄養剤が逆流し、誤嚥や嘔吐をしてしまう可能性があるため、栄養剤を注入している間と注入後1時間程度は上体を起こしておく必要があります。
・ストッパーがスムーズに回転するか。
1日1回以上はストッパーが抵抗なく360度以上回転するか確認しましょう。抵抗がある場合には、内部にあるストッパーが胃粘膜に埋もれている可能性があります。
・ストッパーと皮膚の間に1~2㎝程度のゆとりがあるか、皮膚を圧迫しすぎていないか。
ストッパーの圧迫が強すぎると、胃壁の壊死や皮膚トラブルに繋がります。
胃ろうを造設したばかりの頃はストッパーと皮膚の間に余裕があっても、栄養状態が良くなるにつれ徐々にきつくなってくることもあります。
上下に動かして適度な余裕があることを確認しましょう。
・腹帯などで保護している場合にカテーテル全体が倒れていないか。
ストッパーと皮膚の間に余裕があり、カテーテルが倒れた状態になってしまうこともトラブルの要因となります。
そのため、間にスポンジやティッシュなどを挟んでカテーテルが立ったままの状態を保てるようにする必要があります。
・瘻孔周囲の皮膚にトラブルはないか。(出血、発赤、潰瘍、浸軟、水疱など)
胃ろうの周囲に刺激が加わると皮膚トラブルが発生しやすくなります。毎日洗浄や清拭を行って清潔を保つようにしましょう。
洗浄したあとは水分をよく拭き取ることが大切です。
瘻孔とストッパーの距離が短く、洗浄が難しい場合は濡らした綿棒などを用いて優しく瘻孔周囲を拭き取ります。
また、ストッパーが毎日同じ向きになってしまうと、潰瘍を形成しやすくなります。
ストッパーの向きは計画的に変更して同一部位が圧迫されないようにしましょう。
・瘻孔から栄養剤や胃液などが漏れていないか。
胃ろう増設後は瘻孔から栄養剤や胃液などが漏れ出してくることがあります。
少量であればティッシュをこより状にしてストッパーのあそび部分に巻き付け、汚染したら交換します。
ガーゼは取り除く時に皮膚の組織を損傷する可能性があるため、使用は避けましょう。
漏れがある場合は皮膚トラブルを予防するため、ワセリンや皮膚被膜剤などを塗って保護します。漏れる量が多い場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
・下痢や便秘をしていないか。
下痢の時は栄養剤の注入速度を遅くしたり、体温程度に温めて注入したりなどし、消化管に負担がかかりすぎないようにします。
便秘時は水分量を増やしてみて、改善しなければ下剤が必要なことがあります。下痢、便秘が続くようであれば、かかりつけ医へ相談しましょう。
・吐き気、嘔吐はないか。
吐き気や嘔吐がある場合は、注入を中止して、様子を見ます。
嘔吐した場合に吐物を窒息してしまう可能性があるため、上体は起こしておきます。症状が強い時は受診しましょう。
・口腔ケアは丁寧に行う。
胃ろうを作ると経口摂取の機会が減ることで唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥したり汚れたりしやすくなります。
口の中が汚いと細菌が多く繁殖するため、誤嚥した場合に誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなります。
経口摂取をしていない場合でも介助者は毎日丁寧に口腔ケアを行いましょう。
・入浴時はカテーテルを束ねてまとめる。
胃ろうがあっても入浴が可能です。
チューブ型のカテーテルの場合、患者さんが自己抜去してしまったり、移動や移乗の際に引っかかって抜けてしまったりすることがあるため、輪ゴムなどで束ねて小さくまとめておきましょう。
『胃ろう』についてのまとめ
胃ろうは口から食べることが難しくなった患者さんが栄養を確保する方法として有効であり、栄養状態が改善すると再び口から食べることが可能となります。
胃ろうの造設は、メリット、デメリットを理解した上で、患者さん本人の希望や、ご家族の思い等を医師へ伝え、同意の上で治療方針を決定していくことが重要となります。
経口摂取や意思疎通が困難になる前に、もしもの時に胃ろうを希望するかなどを家族間で話し合っておくと安心ですね。
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